まさか!ナスカの地上絵の上をトレーラーが走行!損傷する世界遺産

ナスカの地上絵画像 海外ニュース

世界遺産「ナスカの地上絵」トレーラーが侵入!

絵を損傷した運転手が逮捕されました。

約2,000年ものあいだ姿をとどめる貴重な絵が、さまざま理由により損傷の危機に脅かされています。

実は、そんな地上絵と日本には深い結びつきがあるのです。

スポンサーリンク


世界遺産の上を走ったトレーラー

ペルーの世界遺産として有名なナスカの地上絵。

2018年1月27日、その貴重な絵の上を、18輪のトレーラーが約50mに渡って走行しました。

侵入するトレーラー画像引用元:CNN.co.jp

運転していたのは、ペルー人トラック運転手ハイネル・ヘスス・フローレス・ビゴ。

40歳の男性です。

ペルー文化省によれば、異変に気づいた警備員がその場でフローレス容疑者を拘束。

その3時間後には警察署に拘留されました。

逮捕された男イラスト

1月27日の夜、フローレス容疑者は、南北アメリカ大陸を結ぶパンアメリカンハイウェイという高速道路を走行していました。

その時、急にトレーラーの調子が悪くなり道を外れるしかなかった。

地上絵の存在を知らせる標識にも気づかなかったと主張しています。

その主張に対し、アルゼンチンの新聞は、フローレス容疑者は高速道路の料金の支払いを避けるため、わざと道を外れた可能性があると報じました。

しかし、ペルーの裁判所の判事は、それを裏づける充分な証拠がないと判断。

フローレス容疑者は保釈されました。

タイヤの跡がついた地上絵引用元:HUFFPOST

トレーラーが走った跡には、幅約50メートル、縦約100メートルの範囲で深いタイヤ痕が残り、3つの地上絵が損傷することになりました。

 日本とナスカの意外な関係!

実は、損傷したナスカの地上絵と日本には深いつながりがあります。

4本指の手の地上絵引用元:LOOK JTB

日本の山形大学では、ナスカの地上絵に関する研究プロジェクトが進められているのです。

現在、各国の研究者がナスカの地上絵の研究から撤退。

そんな中、現地で調査研究を続けているのは山形大学のナスカ地上絵プロジェクトチームのみ。

現地での立ち入り調査を認められている世界で唯一の研究チームであり、その活動はペルー文化省にも高く評価されています。

2012年10月30日には、ペルー・ナスカ市内に、山形大学人文学部附属ナスカ研究所も開設されました。

ナスカ研究所画像引用元:ペルーニュース

プロジェクトチームの産みの親である坂井正人教授は、大きすぎる地上絵の全体像をつかむため、分布図の作成を思い立ちました。

その際、宇宙開発事業団(現JAXA)に勤めていた兄から衛星画像の利用を提案されます。

地上絵衛星画像
引用元:JAXA

ちょうどその頃、TBS系の番組「世界ふしぎ発見」でナスカ研究者として協力を頼まれた坂井教授。

幸運にも、番組スタッフが、アメリカの衛星画像を売る会社から入手したナスカの航空写真を、坂井教授に譲ってくれました。

衛星画像を使い100点を超える新たな地上絵を発見しながら、完成した分布図。

世界で初めてナスカの地上絵の分布図を完成させたのは日本人だったのです。

 

スポンサーリンク


そもそもナスカの地上絵とは?

どこにあるのか?

ナスカの地上絵は、ペルーの首都リマから南に444キロほど離れたナスカ台地にあります。

ナスカ台地画像引用元:一寸、自転車の旅 / Anyway, bicycle trips

東西に約20Km、南北に約15kmという広大なナスカ台地は、小石が地面を埋め尽くす乾燥地帯。

地上絵の線は、地面の上の小石を取り除き、下の白っぽい土を露出させるという方法で描かれています。

地上絵の線画像
引用元:Travel Note

絵が描かれたのは、紀元前100年前後から紀元後600年ぐらいまでのナスカ期。

日本で言うと、飛鳥時代の終わりごろ、卑弥呼や聖徳太子が生きていた時代にあたります。

それにしても、約2,000年も前に地上に描かれた絵が消えずに残っているのは驚くべきことです。

その理由として、描かれている場所が年間降水量が25mmにも満たない乾燥地帯で、水はけの良い地層であったこと。

また、人工衛星や地形図等の分析で、消えにくい場所を選んで絵が描かれていることも判明しています。

どんな絵なのか?

ナスカの地上絵はあまりにも巨大なため、上空から見なければ何が描かれているかわかりません。

クモの地上絵画像引用元:NAVERまとめ

なので、アメリカの考古学者ポール・コソックが地上絵を発見したのは、飛行機が頻繁に行きかうようになった1939年のことでした。

描かれているのは、ほ乳類・鳥類・爬虫類・魚類など。

地上絵の種類引用元:怪奇動画ファイル

サルやハチドリ、クモなどの絵は有名ですね。

ナスカ地上絵サル画像引用元:NAVERまとめ

図形や模様や矢印のような絵も700種類以上確認されています。

地上絵図形画像引用元:NAVERまとめ

単純な直線なども含めると、絵の数は数千~1万点にものぼります。

図形や模様、直線などが何を意味するのかはわかっていません。

「宇宙飛行士」と呼ばれている絵や、片手が4本指に描かれた絵など、不思議な絵もあります。

宇宙飛行士の地上絵引用元:Travel.jp

このような絵がなぜ描かれたか、真実はいまだ謎のままですが、数々の説が考えられています。

 

なぜ描かれたのか?

雨乞い説

地上絵の中心点からは多くの土器とともに、雨乞いの儀式に使用されるスポンディルス貝という貴重な貝殻の破片が見つかっています。

スポンディルス貝画像引用元:5日目 月のワカ、虹の神殿、チャンチャン遺跡観光

これは、雨乞いの儀式の際、50キロ離れた海から土器に入れた海水を運び、そこで割っていたからではないかと言われています。

雨乞いの儀式では、人々が一列になって練り歩くことから、地上絵の線がその道として使われたのではないか。

しかし、人が歩くには地上絵の線の幅は狭すぎるので、この説には疑問が残っています。

暦(こよみ)説

地上絵の中には、夏至と冬至に太陽が沈む方向と一致する線があることが明らかになっています。

この地域の人々にとって夏至と冬至は、雨季と乾季の始まり。

そのため、農業や祭りの儀式に使う暦として描かれたのではないか。

インカ祭り画像引用元:ペルーからの便り

しかし、地上絵の線の中には、太陽の運行と一致しないものも多数あり、現在この説はあまり支持されていません。

公共事業説

ナスカの社会では当初、食料は個人の家で管理されていました。

豊作で食料が多い時は人口が増え、不作で食料が少なくなると飢えて亡くなる人が多かったのです。

ナスカ農業画像
引用元:pixabay

その問題を解決するため、古代ナスカの権力者たちが公共事業として地上絵を描かせたのではないか。

地上絵を描く労働者に食糧を支給する名目で、豊作の時に個人が貯めておいた食料を取り立てる。

取り立てた食料を国が管理することで、不作時に備え、飢饉を防いだのではないかという説です。

権力者の葬式説

古代ナスカでは、亡くなった人は太陽に還るとされていました。

死んだ権力者を太陽へ導くため、もしくは死者へ贈るメッセージとして、ナスカの地上絵が描かれたのではないか。

ナスカ埋葬オブジェ画像
引用元:HAPPY LIFE‐STYLE

古代ナスカは宗教的傾向が強かったため、この説は特に有力視されています。

宇宙人が描いた説

巨大すぎる地上絵は、上空でなければ全体像が見えず、宇宙空間からしか確認できない図形もあるほどです。

そのため、飛来した宇宙人によって描かれたのではないかという説も。

空から見ることができる宇宙人であれば、確かに描けるかもしれませんが・・・

スポンサーリンク


貴重なのに・・・損傷される地上絵

1994年に世界遺産に登録されたナスカの地上絵は、毎年数万人の観光客が訪れる有名な文化遺産です。

その上をトレーラーが走るなんて!?

驚きですが、地上絵が損傷したのは今回が初めてではありません。

2014年には環境保護団体グリーンピースが、地上絵の真横に、再生可能エネルギー導入を促すメッセージを設置し問題になりました。

グリーンピース地上絵落書き画像
引用元:マチュピチュ.com

その時に開かれていた、地球温暖化対策の国際会議に対するアピールだったようですが、アピールに適切な場所とは言えませんね。

また、2015年1月には、フジテレビの旅番組のディレクターがナスカの地上絵に寝そべるという出来事もありました。

そのシーンはペルー国内で非難の対象となりました。

フジテレビ絵の上に寝そべる画像引用元:NAVERまとめ

傷みの激しい地上絵を守るため、ペルー政府は立ち入りを厳しく制限。

歩行によって線が崩れないよう、観光客は特殊な靴を履くことが義務づけられています。

地上絵を歩く時の靴画像
引用元:ざっくり箱

にもかかわらず、地上絵近くの道端からゴミを投げ捨てる人や、地上絵を踏むところを撮影した動画をSNSに投稿する人もいるそうです。

地上絵の範囲が広すぎてペルー文化省の監視が追いつかず、ドローンなどを使った監視も検討されています。

ナスカの地上絵は、洪水による泥流など自然の脅威だけでなく、絵に近づく人間によって常に脅かされているのです。

世界遺産を壊したら?

世界遺産は、世界遺産条約に基づいて認められた文化や自然です。

人類全体のための遺産として、文化遺産や自然遺産を残し、損傷や破壊などの脅威から守り保存していく。

それが、世界遺産条約の目的です。

モアイ像画像引用元:GIBEON

では、世界遺産を壊したらどのような罪に問われるのか?

実は、世界遺産条約に罰則はありません。

世界遺産は、それを保有する国の法律や制度などで守ることになっています。

ちなみに日本には、世界遺産を守るために作られた法律はありません。

屋久島画像
引用元:skyticket

世界遺産に認定された自然環境については「自然環境保全法」や「自然公園法」などを適用。

白川郷画像引用元:skyticket

文化財については「文化財保護法」や「文化財の不法輸出入等の規制法」などを適用し、対処しているのが現状です。

 

保護と開発の両立を目指して

現在ナスカで生きている人たちが水路を作り、水を引く。

水を引いたところに畑を作れば、生活が潤う。

しかし、畑や水路、道の建設といった開発によっても破壊は進んでいきます。

すでに絵の上に道路が通っているところもあります。

道路で分断された地上絵引用元:Twitter

研究チームの坂井教授は、分布図を利用して地上絵付近の開発を計画すれば、地上絵の保護と開発の両立は可能だと考えています。

しかし、研究者たちにとって地上絵が貴重な情報を貯えたものでも、現在の住人たちにとっては生活のための土地。

「一方的に遺跡は大切だと主張しても伝わらない。

これがどういう意味があるのか、彼らにとっても誇りにならなければ、多分どんどん消えていく。

研究結果や情報を学者間だけでなく地元の人と共有していく。

その努力が必要なんですよね。」

ナスカの町画像
引用元:旅ノート

古代アンデスの人々が地上絵の中に残したものの重要性がわからなければ、「簡単に壊してはいけない」という思いも共有できない。

坂井教授は、地上絵に隠されている意味を追い求めています。

これ以上、損傷が激しくなる前に、地上絵の謎が解けることを祈りたいものですね。

スポンサーリンク


コメント