ロングヒットを続けるカップ麺の定番“赤いきつね”と“緑のたぬき”。
東洋水産は、赤いきつね発売40周年を記念して、2つの商品の人気投票を実施すると発表しました。
メガヒット商品となった“赤いきつね”と“緑のたぬき”命名の謎や、ルーツに迫ります!
なぜ赤いきつねは“赤い”のか?
引用元:東洋水産
もともと東洋水産のマルちゃんが発売し、人気を博していたのは、“マルちゃんのカップうどんきつね”という商品です。
1975年9月に発売されたマルちゃんのカップうどんきつねは、世界初のカップうどん。
引用元:ツイッター
その後、日清食品の“どん兵衛”など、よく似たカップうどんが発売されたため、東洋水産は商品名の変更などの戦略を練ることに。
そして、1978年8月、“赤いきつねうどん”が発売されることになったのです。
開発当初は、熱々の美味しさが伝わるよう、“熱いきつねうどん”という名前で発売される予定でした。
容器の色もベージュが考えられていました。
引用元:BIGLOBE
しかし当時、ライバルの日清食品“どん兵衛”が、キャッチコピーとして、すでに「熱いうどん」を使用していました。
そのため“熱いきつねうどん”は、商品名の変更を余儀なくされたのです。
変更を迫られたその年、山口百恵の“プレイバックPart2”が大ヒット。
引用元:Twitter
「み~どりのなかを走り抜けてく真っ赤なポルシェ♪」
という歌詞を聞いた当時の社長は、インスピレーションを受けました。
「真っ赤な、とは熱いイメージ。
赤いことを基調にすれば商品自体に強力なインパクトを与えることができるのではないか。」
と考えたのです。
店頭で目立ち、食の五感も刺激する“赤”をベースカラーにデザイン。
容器の色と商品名も、ユニークでインパクトのある“赤いきつね”に決定しました。
引用元:RELEASE
また、きつねと言えば“お稲荷さん”。
稲荷神社の赤い鳥居や、のぼり、狐の像に掛けられた赤い前掛けなども大きく影響しています。
「はじめは“熱いきつね”と名づけられる予定でした。」
「パッケージの色が赤に決まったことから“赤い”となったのですが、当時まだ食品を色で表現する商品が少なく、赤いパッケージとそのネーミングは、店頭でもインパクトがあったようです。
もう1つは、きつね=お稲荷さんの赤のイメージでした。」
CSR広報部の齋藤千亜希氏はそう語っています。
赤いきつねに山口百恵さんが関わっているとは、思いもよりませんでした。
”緑のたぬき”のルーツ
引用元:東洋水産
赤いきつね発売の2年後、1980年に発売された“マルちゃん緑のたぬき天そば”。
そのルーツは、1963年に発売された“たぬきそば”でした。
引用元:FC2ブログ
それまで中華そばが中心だった即席麺市場。
赤いきつねと緑のたぬきは、市場に新ジャンルを開拓し、従来の乾麺の日本そばにはない、スープ付きの手軽さが喜ばれました。
“緑のたぬき”の名前の由来は、「きつね=赤」「たぬき=緑」というように、緑が赤の正反対に位置する色であることからつけられたそうです。
ただ、もともと関東で“たぬき”といえば、天ぷらの“たね抜き”が変化した“揚げ玉”のこと。
緑のたぬきは、小エビたっぷりのこだわり天ぷら入りなので、正式には“たぬき”と言えませんね。
しかし、赤いきつねとの対比を考え、“赤いきつね”と“緑のたぬき”に落ち着いたのでした。
ちなみに緑のたぬきに入っている天ぷらは、“たね”の小エビを手間ひまかけて一匹一匹油で揚げているそうです。
そのため、カリッとした食感が楽しめるのです。
お客様に愛され続ける秘訣は
マルちゃんの赤いきつねと緑のたぬきには、水産加工業である東洋水産のこだわりが活かされています。
引用元:オレ的ゲーム速報@刃
つゆに使われているダシは、東洋水産のグループ工場で粉砕加工したカツオ節を使用して作られたもの。
他のメーカーにはない自家製のダシを使った”つゆ”で、自信の味と品質を実現したとのこと。
また、消費者の味の好みは、地域や時代によって大きく異なります。
そんな消費者のニーズに合わせ、赤いきつねと緑のたぬきには、北海道向け・東向け・関西向け・西向けの4タイプがそろっているのです。
西向け・関西向けには淡口醤油を使用するなど、それぞれの地域に合わせて使用するダシや味つけを変えています。
引用元: 日本経済新聞
時代によっても変化するお客様の好みに対しても、正方形だった油揚げの形を変えながらサイズも大きくしたりして、ボリューム感を出しています。
また2010年には鰹荒節を非加熱製法に変更し、さらにダシにこだわりました。
「東向けは鰹節を主に昆布を加え、西向けでは昆布だしに鰹節、にぼしなどを加え、北海道向けは利尻昆布を利かすなど、その地域の味覚を大切にして製造しています。」
味の見直しはほぼ毎年行っています。」
私は、お客様からの声を聞いていると、麺や具も大切ですが、最後はつゆのうまさに行き着くような気がしています。
パッケージにも『だしにまじめ』というキャッチフレーズがありますが、赤いきつねと緑のたぬきがお客様に愛されている最大の理由は、まじめにつくり続けている点だと思います。
当社は、水産加工の技術や鰹だしの製造工場を自社で有していますので、そこは有利な点だと思っています。」(松村氏)
と、即席麺本部商品開発部の松村洋氏は語っています。
”きつねとたぬき”が40年に渡って愛されるカップ麺に化けてくれたのは、このような並々ならぬ企業努力のたまものでしょう。
引用元:ウレぴあ総研
赤いきつねの4つの味
赤いきつねには4つの味があります。
- 東日本向:カツオと醤油のしっかり味
- 西日本向:カツオ・コンブ・煮干のダシに薄口醤油の上品な味。
- 北海道向:利尻昆布を使った味
- 関西向:ウルメ鰯を使った味
引用元:GIGAZINE
関西向けと西日本向けは昆布ベースのさっぱりした味わいで、しょうゆの風味は抑え気味、塩味とダシで食べさせる味。
関西向けのほうが西日本向けよりもキレのよい味わいで、西日本向けのほうがやや甘みが加わった味になっています。
東日本向けと北海道向けはかつおの風味がじかに感じられ、ちょっと濃いめのしょうゆ風味が楽しめます。
北海道向けのほうが東日本向けよりもよりダシが利いているためか、全体的に少し濃いめの味になっているようです。
緑のたぬきの4つの味
引用元:GIGAZINE
緑のたぬきにも4つの味があります。
- 東日本向:鰹節だしを利かせ、醤油と砂糖を合わせたつゆ。
- 西日本向:鰹節・煮干・雑節・昆布のだしを利かせたつゆ。
- 北海道向:北海道工場製造されたつゆで、鰹節・利尻昆布だしが利いている。
- 関西向:鰹節、雑節、煮干、昆布のダシを利かせた関西風つゆ。
旅行や出張先で商品を購入して食べ比べてみてはいかがでしょうか?
コンビニとスーパーで違う!?
引用元:YouTube
コンビニで販売されている赤いきつねに入っている油揚げは2枚。
また、緑のたぬきの天ぷらは通常のものより分厚くなっています。
コンビニの商品には、プラスアルファの価値がついているのです。
カップ麺は、コンビニよりスーパーやドラッグストアで購入する方が多いのではないかと思います。
それは、コンビニがメーカー希望小売価格で販売しているのに対し、スーパーなどは特売日以外も値引き販売しているからです。
引用元:ビブリオン
そのためコンビニに忖度する形で、メーカーがコンビニ限定商品を作ったとのこと。
他人の気持をおしはかること。
メーカー希望小売価格で購入したお客さんにも満足してもらえるよう、付加価値をつけているということですね。
引用元:NewsACT
コンビニ側にとっても、“商品が違うからスーパーと価格が異なる”という大義名分にもなります。
コンビニ限定の赤いきつねや緑のたぬきが発売されていることは、マルちゃんのホームページで紹介されていません。
あえてホームページで紹介していないのは、このような大人の事情が絡んでいるからでしょうか。
武田鉄矢がCMに選ばれたわけ
1978年の商品発売当初から40年にわたり、赤いきつねと緑のたぬきのCMキャラクターを務める、俳優の武田鉄矢さん(69)。
“マルちゃんのカップうどんきつね”から“赤いきつね”へリニューアルする際、広告代理店(東急エージェンシー)はCMに起用するタレントを探していました。
引用元:tower.jp
候補として残ったのが、歌手で俳優の武田さんと、第1回ホリプロタレントスカウトキャラバンで優勝し芸能界デビューした榊原郁恵さん。
最終的には、山田洋次監督製作の映画“幸福の黄色いハンカチ”(1977年)の主役に武田さんが抜擢されたことなどが決め手となり、武田さんが選ばれたそうです。
引用元:Gooブログ
40年間ともに歩んで来た“赤いきつね”に対し武田さんは、
「初めて海外でCM撮影した後に、金先生に出ることになりましてね。
幸運のきつねです。
マンションを買えたのもこいつのおかげです。」
「ギネスに挑戦して、最長CMキャラクタでーを目指していきたい。」
と、感謝と野望を語っています。
マルちゃんマークの由来は
引用元:ロゴマークを無料提案!
水産物の仕入れ加工販売から始まり、魚肉ハム・ソーセージや缶詰などの食品加工の業界へと進出した東洋水産。
引用元:maruchan.co.jp
その後、即席麺市場に本格参入するにあたり、子どもからお年寄りまで幅広いお客様に親しまれ、愛されるブランド開発に取り組みます。
当時、水産会社のほとんどは正式社名ではなく屋号(企業や店の名称)を社章として使ってました。
企業においてシンボルとなるマークのこと。
引用元:maruchan.co.jp
東洋水産も、丸の中に社名の頭文字“と”を組み合わせた“マルト”マークを使用。
新ブランドの開発では、“マルト”が“マルトちゃん”に変化。
さらに“マルちゃん”となり、まん丸マークのハッピースマイルが誕生したのです。
1962年に産声を上げたマルちゃんマークは、今や多くの人に知られています。
“マルちゃん”の笑顔のマークには、
「お客様に、美味しさや楽しさ、幸せをお届けしたい。」
という願いが込められているとか。
お客様目線に立った東洋水産の創意工夫を知るにつれ、なんだか無性に赤いきつねと緑のたぬきが食べたくなってきました。
どっちが好きか、あらためて食べ比べてみたいものです!
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